2016年12月21日

コレラタケの観察

12月18日、幼菌の会の例会(スライド会)があり、午前中の清水山の観察会でコレラタケらしききのこを見ることができた。

コレラタケは、遊歩道脇の決まった倒木に毎年たくさん発生していたとのことであったが、この日見つかったのはこの1本のみであった。
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標本撮影したやや大きめの画像
柄の上部には「つば」のなごりが見られる。
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時期的にヒメアジロガサの可能性もあるとのことだったので、確認のためひだの先端をつまんで縁シスチジアを確認してみた。(フロキシンで染色しKOHで押しつぶしている)
すると、独特の首の長い小頭形の縁シスチジアが確認できたので、やはりコレラタケで間違いなかったようだ。
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ひだ断面を見ると側シスチジアは無いようだった。
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先端部を拡大してみても、縁シスチジアは小さく埋もれているような感じでなかなか観察しづらい。
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胞子は、黄褐色で、フウセンタケ風のイボがあり、胞子盤が明瞭である。
サイズは、平均で8×5μm程度で、記載のサイズよりやや大きく太目であるが、変異と誤差の範囲かと思われる。サイズのばらつきはやや大きいようだ。
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傘表皮はウインナーソーセージのような菌糸が錯綜しており、画像右上に見られるような褐色の組織が表面に散らばっているようだ。
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柄シスチジアは確認できなかったが、表面にある菌糸束にはやや褐色を帯びた節のようなものが確認できた。
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実はこの発生木で、もう1本小型のきのこが採集されていたのだが、コレラタケとは別種のきのこだろうと思っていた。
しかし、念のため持ち帰った標本を検鏡してみたところ、上記の標本と全く同じ組織が確認でき、これも(比較的若い)コレラタケであることが分かった。
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良く見るとさらに小さい幼菌も発生してきている!

コレラタケについては、ネット上での画像等も少なく、正体が良く分からないきのこのひとつであったが、これでかなり理解することができた。
ドクツルタケなどと同じ毒成分を持つ致命的なきのこであるがゆえ、特に若い時の姿など頭に叩き込んでおいた方が良さそうだ・・。


posted by gajin at 10:43| Comment(3) | きのこ

2016年12月12日

畑の菌核菌

昨日から畑でジャガイモの収穫をしていたところ、ジャガイモの根元に小さな子嚢菌が幾つか出ているのに気が付いた。

地面にへばりつくように小さな茶碗が並んでいる。
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掘り出してみると意外にも菌核が付いていた。
春にモクレンの樹下に出る菌核菌 Ciborinia gracilipes なんかとちょっと似た感じだ。
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辺りを探してみると隣のネギの植わっている場所にも幾つか出ていたので、ジャガイモとは直接関係はないようだ。

子のう盤の径は3-6mm程度で、柄は3cmに及ぶ長さのものもあった。
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菌核内部は白い菌糸組織で満たされている。
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子のう盤の断面は4層ほどになっており、托外皮層(右側)は球形細胞が数珠状につながっているようにも見える。
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メルツアー試薬で染色した子のう盤断面
子のう先端と托外皮層にアミロイド反応が見られる。
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子実層を拡大した画像
ツバキキンカクチャワンタケなどと殆ど変わらない感じだ。
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KOHで少しばらした子実層の画像
微分干渉像のようにも見えるが、これは偏斜照明で撮影した画像を深度合成したものだ。
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一体これは何を宿主にしている菌核菌なのだろう?
明日はもう少し色々な場所を確認してみよう・・。


posted by gajin at 23:53| Comment(0) | きのこ

2016年09月27日

竹林はエントローマの楽園だった・・

昨日のことになるが、菌友のosoさんに教わったソライロタケの発生する竹林を訪ねてみた。

ソライロタケは、発生のピークはやや過ぎているようだったが、比較的良く手入れされた孟宗竹林の斜面などに数多く発生しているのを確認することができた。
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老成すると傘が反り返ることもあるようだが、こんなになるのは珍しい。
ひだの色が鮮やかだ。
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じっくり確認すると、一帯の竹林にはどこにでもソライロタケが出ているようで、短時間の間に100本近くも確認することができた。これを目にすると、この時期どこの竹林でもソライロタケが出ているのではないかと思ってしまうが、そんなことはないのだろう・・。
写真は、帰りの道路脇斜面に格好良く並んで発生していた一群。クモの巣に積もっている胞子の色はかなり赤味を帯びているのが分かる。撮影後、これを標本用に採集させていただいた。
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家に持ち帰ると、きれいな青色はかなりくすんでしまっていた。
これはひょっとすると照明光の加減なのかも分からない。
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キイボカサタケ、アカイボカサタケ、シロイボカサタケのいわゆるイボカサ三兄弟もたくさん発生していた。
これはキイボカサタケ
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そしてこれがアカイボカサタケ
先日、京都大学で開催された日本菌学会60周年記念大会でポスター発表された千葉科学大学の池側氏らの研究「キイボカサタケおよびその関連菌群の分類学的再検討」によれば、日本産のキイボカサタケとアカイボカサタケは分子系統的に差異が認められないということである。日本産の黄と赤は同種内の変異と考えねばならないようだ。
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シロイボカサタケは黄や赤とは別種として良いようだが、感覚的にはなんだか釈然としない気分だ・・。
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さらにダイダイイボカサタケ(青木仮称)と思われるものも見られた。
これも黄-赤イボカサタケの変異の範囲なのだろうか・・?
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竹林の近くでは久しぶりにコンイロイッポンシメジを見ることができた。
昔これを良く目にしたアカマツ−コナラ林とは環境があまりにも違っているし、紺色も少し薄く感じるがコンイロイッポンシメジには違いないようだ。
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遠目にキイボカサタケにしてはぼってりしすぎているなと思って近づいて行ったら、やっぱり違っていた。
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キイロウラベニタケとか仮称で呼ばれているエントローマだが、今年は特に各地で良く発生しているようだ。
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黄-赤-白の三色といえば、ナギナタタケの仲間もたくさん発生していた。
先ずはこれが黄色
ナギナタタケで良いのだろうか?
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そして赤色はベニナギナタタケなのか??
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白色は何だろう?
やや大型でシロソウメンタケではないと思われる。
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トガリワカクサタケと思われるきのこも見ることができた。
写真では分かりにくいが、柄はゼラチン状ぬるぬる物質をまとっており、柄を持って抜こうとしても指がすべってしまうのだ。
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オオゴムタケもたくさん発生していた。
オオゴムタケのイメージとして、なんとなく真っ黒なきのこという認識をしていたのだが、実は良く見ると真っ黒なのは発生している材の方で、オオゴムタケ自体は薄茶色のなかなかシックな色なのだ・・。
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しかし、この発生している材の感じといい、発生の様子といい、キリノミタケにとても良く似ているなと思う・・。


posted by gajin at 23:19| Comment(2) | きのこ

2016年07月17日

黒変するピンクのルスラ

7月16日(土)三重県民の森で開催されたきのこ観察会で発生が再確認された興味深いベニタケ属菌のメモ

この場所で最初に見つかったのは2008年7月5日で、こちらに観察記録を書いている。
恐らく未記載種であると思われるが、本郷次雄博士が1987年8月4日と1993年8月6日に大津市で採集された子実体の記録を残されている。また、2006年7月に開催された仙台合宿でも私自身が29日に太白山で採集しており、関西のみならず広範囲に分布しているのではないかと思われる。

10:46 見つかった直後はこのような状態だった。近隣の菌根性樹種はアラカシとモミ。
この時点で中央のきのこに潜んでいるナメクジを退治しておくべきだった・・。
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15:07 観察会終了後に行ってみると約4時間の間に傘が1個まるごと食べられてしまっていた。160716_150654_EM521671xs.jpg

柄が全体に特徴的なピンク色を帯び、傘表面はややビロード状で赤紫色の地に周辺部が黄緑色を帯びる。
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全ての部位がシロクロハツのような黒変性を持っている。
胞子紋は白色。ひだは柄に近い部分から分岐しているものが多い。
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ひだ断面を見ると、細長い縁及び側シスチジアが数多く見られる。
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ひだ断面を偏光照明で観察すると、なぜかシスチジアのみが光り輝いて見える。
これがこの種のみの特徴なのか、他の種にも広く見られる現象なのかは良く分からない。いちど色々な種で確認してみないといけないと思っている。
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側シスチジアは指状突起を持った細長い円筒状〜棍棒状。縁シスチジアもよく似た形状である。
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傘表皮は隔壁を持った毛のような菌糸が多数立ち上がっているようだ。
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乾燥系60倍対物レンズで観察した担子胞子(メルツアー試薬で染色)
細かいイボ状突起に覆われている。
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こちらの画像は油浸100倍対物レンズを使用し深度合成を行ったもの
胞子のサイズは8×6μm程度
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こちらは深度合成をしていない画像だが、くっきりした胞子盤の模様や比較的長い嘴状突起の様子が確認できる。
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posted by gajin at 23:11| Comment(2) | きのこ

2016年07月15日

とても忙しい日々

なんと1か月以上も更新をサボってしまった。
きのこが無かったからじゃなくて、あり過ぎて忙しかったから・・。
それになんか最近はTwitterの方でリアルタイムに情報発信するのにハマってしまって、ブログの方がおろそかになってしまっていたのだ。

この1か月間に目にしたきのこを幾つか掲載しておく。

これは昨日初めて目にすることができたフカミドリヤマタケまたはヒスイガサ(いずれも仮称)とされるきのこ
7月4日に探したときにはまだ何も見つからなかったのだが、昨日は幼菌から老菌まで揃っていた。
これはまだ若い子実体で、遠目には黒っぽく見えていた。
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(7月14日 三重県菰野町)

こちらは、すらっと柄が伸びた子実体
柄の色など芝生の緑とそっくりで見つけにくい。
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(7月14日 三重県菰野町)

きのこ仲間の裏庭のミョウガの中に生えたセミタケ
4本生えたという。
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(7月14日 三重県いなべ市大安町)

これまた、きのこ仲間の家のすぐ近くに発生したキヌガサタケ
早朝連絡をもらって駆けつけたら丁度良い具合に開いたところを見ることができた。
今年は6月中旬に数本発生したようで、もう出ないかと思っていたのだが、雨が多く降ったため遅れていたものが発生したのだろう。
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(7月14日 三重県いなべ市藤原町)

近所の神社のティラミステングタケ(仮称)
前日に発生したらしく、乾燥で傘がひび割れ、とても脆いひだは無くなっている。
マクツバコナカブリテングタケという仮称があるようだが、ティラミステングタケの方が広まりつつあるようだ。何より、ココアの粉をまぶしたような傘が、お菓子のティラミスそっくりだからだ。
本種は、シンガポールで採集された標本により記載された Amanita vestita と同種だと思われる。
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(7月12日 三重県松阪市)

7月9-10日は兵庫きのこグループの合宿に参加させていただいた。

探索地となった兵庫県但馬高原は標高500m〜600mほどで、イグチの仲間の発生は少なかったが、ベニタケやテングタケを中心に多くのきのこを見ることができた。
中でも一番きれいだったのがこのヒメベニテングタケ
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日和田高原などで見たものよりも赤味が強いように思われた。
(兵庫県美方郡香美町)

真正コテングタケモドキのつぼは、このようなくびれがあるらしい。
でも、これが真正のコテングタケモドキであるかどうかは?らしい・・。
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(兵庫県美方郡香美町)

7月1日〜4日はきのこ写真家の大作さんがこちらに来られていた。
和歌山に光るきのこやキヌガサタケを撮影に来られた帰りだったが、関東方面では見られないきのこを精力的に撮影されていた。
写真はミミブサタケを撮影されている大作さん。
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(7月3日 三重県松阪市)

アオゾメクロツブタケがマテバシイのほぼ純林と思われる場所に発生していた。
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(7月4日 三重県菰野町)

津市の公園ではタマアセタケがちょうど発生のピークだった。
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(7月4日 三重県津市)

ミミブサタケは三重県内では比較的珍しく、これが2例目となるようだ。
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(7月3日 三重県松阪市)

堀上げたところ
菌核は掘るときに少し欠けてしまったようだ。
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(7月3日 三重県松阪市)

チャタマゴタケを求めて伊勢神宮に行ってみたが見つからなかった。
代わりにハナビラタケが立派に発生していた。
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(7月2日 三重県伊勢市)

シロオニタケもきれいに発生しているところが見られた。
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(7月2日 三重県伊勢市)

6月25-26日は大阪市立自然史博物館で開催された菌類講座(旧腹菌類の分類と観察法)に参加させていただいた。
腹菌類とは関係ないが、会場隣の植物園の竹林で珍しいカヤバノクヌギタケが見つかった。通常はススキの根元に発生するらしく、竹林で見つかったのはこれが初めてということだ。
しかしこれ、とてもクヌギタケ属とは思えない姿をしている。
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(6月26日 大阪市東住吉区)

もちろん、腹菌類も珍しいものが採集された。
見つかったら良いなと期待されていたシロクモノコタケだ。主に関西方面の海岸などで見つかっている菌だが、内陸の芝生上でも採集例があるようだ。
やはり、これも植物園の芝生上で発生が確認された。
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(6月26日 大阪市東住吉区)

6月24日、津市の公園に行ってみると、以前から「うまそうなイグチ」と呼んでいるイグチの仲間がたくさん発生していた。
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(6月24日 三重県津市)

ムラサキヤマドリタケも少数だが発生していた。
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(6月24日 三重県津市)

アイタケもなかなかきれいな姿で発生していた。
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(6月24日 三重県津市)

最近の写真は、生態写真でも深度合成(ピントをずらして撮影した画像を合成して深いピントの写真を作成すること)を多用しているので、ピントがきりっとした写真が多くなったと思うのだがいかがだろうか?
まあ、必然的に三脚を使うことになるので、手振れが無くなることの効用の方が大きいのかも分からないが・・。

その他にも掲載したいきのこはたくさんあるのだが、これくらいにしておこう・・。


posted by gajin at 23:53| Comment(6) | きのこ

2016年06月07日

ハタケコガサタケ?

今朝、牛糞堆肥をすき込んでいる畑の隅に赤っぽいきのこが発生してきているのに気が付いた。

午後になるとかなり成長してきて、柄の細かい縦すじが目立ってきた。
ハタケコガサタケではないかと思われたが、2003年に観察した個体に比べると、かなり大柄で黄色味が強いように思われる。
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土に穴が開いているのは、農作物を食い荒らすネズミが空けたものだ。

夕方、採集して標本撮影してみた。
柄は、思ったより細長く伸びていて、縦すじはあまり目立たなくなっている。色合いも赤味がさらに少なくなってしまったようだ。
やはり、ハタケコガサタケにしてはかなり大型だ。
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胞子は、明瞭な発芽孔を持ち、サイズは13×7μm程度で、やはりこれも新日本菌類図鑑の記載(8.5-10.5×5-6.2μm)に比べてかなり大型である。
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ひだ断面は一見してシスチジア等が無いように見える。
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しかし、先端部を拡大してみると、小型のボーリングのピンのようなシスチジアが確認できる。
これは、ハタケコガサタケの記載と一致する。
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担子器はほとんどが2胞子性である。
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4胞子性の担子器はかなり少ない。
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新菌類図鑑の記載では「担子器は2または4胞子」となっている。

柄シスチジアはこんな形状をしている。
新菌類図鑑の記載では「紡錘形〜フラスコ形」となっているが、フラスコ形と言えるものは無いのではないだろうか?
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画像は深度合成を行っている。

傘表皮は、かぶら形の細胞が柵状に並んでいる。
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果たしてこれをハタケコガサタケとして良いものかどうか?
子実体と胞子のサイズが大きすぎるのがいちばん気になるところだが、色味も微妙に違うような気がする。

posted by gajin at 23:24| Comment(3) | きのこ

2016年05月17日

クロキツネタケ?など・・

先日のクロキツネタケ?が成長しているのではないかと、香良洲公園にまた行ってきた。

しかし、現地に行ってみると先日撮影した一群はどうも見失ってしまったようで、仕方なく別のものを採集してきた。あれから思ったほどは成長していないようであった。
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ひだ断面はまだ十分に成熟していない感じだ。
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コンゴーレッドで染色しKOHでばらしてみると、意外にも担子器は4胞子性のものが多かった。
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胞子画像は例によって深度合成をやってみたが、あまり上手くはいっていない。
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クロキツネタケについて本郷次雄博士は、傘がクヌギタケ型で中央部が凹むことは無いことを強調されていたが、それは間違いではなかったのかと思っている。青木図版のクロギンコタケも恐らく同じものではないだろうか・・?
しかし、このきのこは4胞子性の担子器が多いのが気になるところだ。
クロキツネタケについてはもう少し多くの個体を観察してみたいと思っている。

香良洲公園ではツルタケと思しききのこも多数発生していたが、雨上がりのため砂にまみれているものが多かった。
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先日採集しなかったアセタケの仲間は、また新しいきのこが出てきていたので採集し持ち帰った。
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この画像からでも柄シスチジアがびっしりと付いていることが伺える。
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ひだ断面を見ると、厚膜の縁シスチジアが群生し、同じような厚膜の側シスチジアも散生している。
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これはコンゴーレッドで染色した子実層の様子
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胞子はやや角のある長楕円形
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これらの形態から、このアセタケ属菌はスナジアセタケとして良いのだろう。

このあとクルミタケの発生状況が気になったので津市の公園に行ってみた。
しかし、クルミタケの姿は確認することができなかった。落ち葉を掻けば少しは見つかったかも分からないが、発生数が激減してきているのは間違いないようだ。

代わりに見つかったのは、このショウロの仲間
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グレバの断面には白っぽく区画されたような模様があり、ショウロそのものでは無いようだ。
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胞子は10μm弱の長楕円形
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担子丙には8個の胞子を付けるようである。(画像は深度合成をしたもの)
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公園のツブラジイの大木にはカンゾウタケの美しい姿が見られた。
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大型のベニタケ属も発生していたが採集はしなかった・・(^^;
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posted by gajin at 23:27| Comment(0) | きのこ

2016年05月15日

テングタケが出ていた

久しぶりに地元の神社に行ってみた。

いつもカンゾウタケが出ていたシイの木は最近の強風で倒れてしまっており、カンゾウタケの姿も見られなかった。
今朝、たまたま目にしたNHKの番組「さわやか自然百景」で流れていた伊勢神宮の森の樹冠を下から眺めた画像が印象に残っていた。同じように撮影してみるとこれがなかなか面白く、古くなった木が倒れてくれない限り新しい木が成長できないことも良く分かる画像となった。カンゾウタケは古くなった木を倒すのに一役買っているのだろうか?
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< EOS M3 EF-M11-22mm F5.6 1/100秒 +1.0EV ISO 100 f=11mm >

別のシイの木ではカンゾウタケの幼菌が赤い舌を少し出していた。
薄暗い照葉樹の森では、きのこの発生はまだほとんど無いようだった。
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< EOS M3 EF-M11-22mm F5.6 1/50秒 ISO 6400 f=11mm >

このあと、海岸のハマヒルガオが咲いている頃だと思い出し、香良洲町の海岸まで行ってみた。
海岸に行ってみると、案の定ハマヒルガオの花は満開だったが、風がとても強く、しばらく撮影を続けていると波しぶきでカメラのレンズが曇ってくるほどだった。
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< EOS M3 EF-M11-22mm F8 1/500秒 ISO 100 f=11mm >

ハマダイコンも花盛りのようで淡い赤紫色の花をたくさん付けていた。
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< EOS M3 EF-M11-22mm F8 1/200秒 ISO 100 f=13mm >

ハマボウフウもちょうど花が咲いてきている頃だった。
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< EOS M3 EF-M11-22mm F8 1/160秒 ISO 125 f=16mm >

ハマヒルガオは、このように汀線に近い砂地の場所から堤防のコンクリートの隙間までかなりたくましく繁殖している様子だった。
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< EOS M3 EF-M11-22mm F8 1/160秒 +0.3EV ISO 100 f=11mm >

あまり期待しないで香良洲公園にも寄ってみたら、なんともう既にイボテングタケらしききのこが発生を始めていた。
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< EOS M3 EF-M11-22mm F8 1/60秒 +0.3EV ISO 100 f=11mm >

ツボの部分は見えていないが、このイボの付き方はイボテングタケで間違いないだろう。
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< E-M5U LUMIX G MACRO 30mm F5.6 1/160秒 ISO 200 >

近くではショウロもまだまだ発生を続けていた。
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< E-M5U LUMIX G MACRO 30mm F6.3 1/160秒 ISO 200 >

クロキツネタケと思われる幼菌も見つかった。
もう少し大きくなったら採集してみたいが・・。
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< E-M5U LUMIX G MACRO 30mm F5.6 1/40秒 ISO 200 >

その他にも、もっと古くなったイボテングタケやツルタケらしき幼菌、やや大型のアセタケの仲間なども見られ、神社の照葉樹林とは打って変わって色々なきのこが発生を始めているようだった。


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2016年05月14日

シイノトモシビタケを撮る

シイノトモシビタケが和歌山でも出始めたというので、昨日、熊野市の発生地を確認に行ってきた。

発生地に行ってみると、シイノトモシビタケはもうこんなに大きく成長した姿で傘を並べていた。
先日の雨で発生を始めたのではないかと思っていたのだが、どうもそうではないらしく既にかなり古くなった子実体も幾つか見られた。
160513_180108_M3_IMG_0672.jpg
< EOS M3 EF-M11-22mm F16 0.6秒 ISO 6400 f=17mm >

こちらは傘が赤味を帯びるタイプ
(かなりブレボケですが・・)
160513_180224_M3_IMG_0673.jpg
< EOS M3 EF-M11-22mm F16 0.6秒 ISO 6400 f=22mm >

日が暮れると幻想的な光をあちこちに見ることができた。
この場所は良い感じで子実体が並んでいるし、やや高さがあるのでローアングルでの撮影もやり易かった。
新しい機材(EOS M3 & E-M5U)による撮影の確認をするには理想的な環境だった。
160513_192432_M3_IMG_0674.jpg
< EOS M3 EF-M11-22mm F16 30秒 ISO 6400 f=12mm >

ややローアングルでの撮影
撮影は全てマニュアルで行った。露出は、ISO6400 F16 30秒 で固定。
ピント合わせはモニターで行うが、ピーキング機能(ピントの合った部分が着色して表示される)を使用するとけっこうやり易かった。
160513_193311_M3_IMG_0678.jpg
< EOS M3 EF-M11-22mm F16 30秒 ISO 6400 f=15mm >

ズームリングを回してもう少し拡大してみる。
解像感がいまいち乏しく見えるのは小絞りボケによる影響もあると思うが、傘の縁などよく見るとけっこう解像しているのが分かる。ひだの部分の写りはこんなものだろう・・。
160513_193948_M3_IMG_0681.jpg
< EOS M3 EF-M11-22mm F16 30秒 ISO 6400 f=20mm >

こちらはOMD E-M5Uによる画像
これも解像感がいまいちなのは前述の理由もあると思うが、ピントをちょっと外してしまっているような気もする。
160513_194717_EM520011.jpg
< E-M5U LUMIX G MACRO 30mm F16 30秒 ISO 6400 >

これは朽木の内部から頭を覗かせて発生している様子
露光途中にLEDライトを当てて撮影している。
160513_200104_M3_IMG_0684.jpg
< EOS M3 EF-M11-22mm F16 30秒 ISO 6400 f=17mm >

これは別の発生個所だが、やや子実体が古いのか発光が弱く画像もノイズが少し目立っている。
160513_200602_M3_IMG_0687.jpg
< EOS M3 EF-M11-22mm F16 30秒 ISO 6400 f=17mm >

LEDライトを当てるとこんな感じ
かなりボロボロに腐朽した材から発生しているのが分かる。
160513_200842_M3_IMG_0689.jpg
< EOS M3 EF-M11-22mm F16 30秒 ISO 6400 f=17mm >

ボロボロに腐朽して横たわる材から発生している様子はこんな感じだ。
160513_201805_M3_IMG_0691.jpg
< EOS M3 EF-M11-22mm F16 30秒 ISO 6400 f=12mm >

シイノトモシビタケは数多く発生していたが、意外にその他のきのこはほとんど目に付かなかった。
発光するシイの落ち葉もしばらく目を凝らしてみたが確認できなかった。


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2016年04月28日

キツネタケとアセタケの観察

昨日近所の農業公園で採集し観察したキツネタケとアセタケの写真を整理した。

このキツネタケは数年前に植栽されたコナラ樹下に毎年発生しているものだ。
写真はTG4でフォーカスブラケット撮影した数枚の写真を Zerene Stacher で深度合成したものだが、あまり上手くはいっていない。
2016-04-28-11.11.40 ZS DMap.jpg

標本撮影は、手動でピントをずらしながら撮影した10枚ほどの画像を同じように Zerene Stacher で深度合成したものだ。まあまあの出来栄えか・・。
2016-04-28-10.14.20 ZS DMap2x.jpg

胞子画像は、やはり手動でピントをずらしながら撮影した数枚の画像を深度合成したものだが、こちらは Zerene Stacher の PMax という方法を使用した。
右上の方の胞子などなかなか上手く合成されているものがある。60倍の乾燥系対物レンズを使用しているが、油浸100倍の対物レンズを使用すればもっときれいな画像を得ることができるだろう。きっと・・。
2016-04-28-10.33.16 ZS PMax_xs.jpg
胞子画像が少しずれているものは撮影途中で動いてしまったもののようだ。やはりこのような撮影ではカバーグラスにぴったりと貼り付いて動かない胞子のプレパラートをきっちり作る必要があるようだ。

アセタケの仲間は生態写真を撮り忘れたので標本写真のみ
3本しか採集できなかったので中央の傘の表裏の写真は実は同じものの写真を合成している。やはり深度合成は10枚ほどの画像を Zerene Stacher で処理したものだ。
2016-04-27-23.16.56 ZS DMapx2s.jpg

ひだ断面を顕微鏡で観察すると、厚膜の側シスチジアと縁シスチジアらしきものが確認できる。
160427_213540_IMG_9576x.jpg

フロキシンで染色しKOHでばらしたひだ断面の縁部
先端に結晶を付けた縁シスチジアらしきものが確認できる。
160427_214602_IMG_9582x.jpg

同じく子実層と側シスチジア
160427_214751_IMG_9586x.jpg

胞子はやや細長いイボ状で頂部(?)が突出した独特の形状をしている。
160427_220609_IMG_9597x.jpg

傘表皮の構造はアセタケ属ではあまり重視されないようだ。
160427_215347_IMG_9588x.jpg

柄シスチジアは確認できなかった。
種名は・・、やっぱり良く分からない。


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2016年04月23日

ついにオオオズキン・・!

昨日、長野市にある牛肝菌研究所のみなさんにオオズキンカブリタケの発生地を案内していただいた。
10年ほど以前に福島の知人から生標本を送っていただいたことはあるのだが、発生しているところを見るのは今回が初めてだった。

今年は例年よりも半月ほど早く発生が始まったということで既に老菌になってしまっていたものも多かったが、このように新鮮な状態のものも幾つか見ることができた。
160422_112735_EM52_P4220032x.jpg
この画像は、OLYMPUS OM-D E-M5 MarkII のフォーカスブラケット機能で撮影した8枚の画像を深度合成している。

発生環境は標高800m程の山中で、大きな石が幾つも転がっており、落ち葉が適度に溜まってるような場所だ。
160422_112905_M3_IMG_0538.jpg
こちらの画像は、Canon EOS M3 +11-22mmズームレンズで手持ち撮影したもの。画角が広いので牛肝菌研究所の調査員の方が写り込んでしまった。

スケールを入れた写真を撮り忘れたが、サイズは10cmちょっとくらいで、テンガイカブリタケと比べてもそんなに大きいということはないようだ。
160422_113806_EM52_P4220052x.jpg
この写真も OM-D E-M5 MarkII による深度合成

こちらは EOS M3 による手持ち撮影
最近のカメラは手ぶれ補正がけっこう強力になってきているので、かなりいいかげんにシャッターを切ってもブレていないことが多くなった。
160422_113138_M3_IMG_0544.jpg

別の発生場所ではトガリフカアミガサタケらしき幼菌も発生してきていた。
さらに、桜の木の下で落ち葉がなにやらあやしく盛り上がっているのをどけてみたら(実際には足で蹴っ飛ばしていたらしい・・自覚していないが)これが出てきた!
160422_135742_EM52_P4220071x.jpg
一瞬、これもオオズキンカブリタケかと思ってしまったのだが、よく見ると頭部の網目の構造や柄の表面の状態が全く違っている。
トガリフカアミガサタケとして間違いないのだろう。

ところで、OM-D E-M5 MarkII には「40Mハイレゾショット」という機能があって、0.5ピクセル単位でセンサーを動かしながら撮影することにより40Mセンサー相当の高解像写真を撮影することができる。
この画像がハイレゾショットで撮影したトガリフカアミガサタケの画像を等倍で切り出したものだが、実際にはRAWで撮影すると6370万画素(9216×6912ピクセル)の画像となり、恐ろしいほど高詳細な画像を記録することができるのだ。
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2016年04月15日

アミガサタケを撮る

毎年この時期になるとアミガサタケの仲間を探したくなってしまう。
今年は何か所かの発生場所を探してみても1本も見つけられないでいたのだが、今日やっと見つけることができた。
早速、写真の題材になってもらった。

新しく導入した EOS M3 + 11-22mmズームレンズで撮影
画角が広く接写が効くので、このように発生環境を写し込んだ写真を簡単に撮ることができる。
160415_145229_M3_IMG_0481.jpg
< F16 1/60秒 ISO400 f=13mm 手持撮影 >

こちらは使い込んできた D5100 + 17-70mmズームレンズによる画像
廃止しようとしているシステムだが、その自然な描写はなかなか捨てがたいものがあるなあ・・。
160415_144025_D5100_DSC_3082.jpg
< F16 1/15秒 ISO100 f=24mm 三脚使用 >

これは、TG4のフォーカスブラケット機能でピントをずらして撮影した画像を深度合成したもの
なかなか面白い絵になるが、エッジのきつい画像になってしまうのとjpg記録となってしまうため階調が貧弱になってしまうのが欠点だ。
それと、きのこは動かないので良いのだが、周りの植物が風で動いてしまうのできれいな深度合成はなかなか難しいようだ。
2016-04-15-18.31.03 ZS DMap.jpg
< F3.2 1/400秒 ISO100 f=5.5mm 手持撮影 >

TG4でもRAWで記録すると、これくらいの画質で撮ることができる。
160415_150119_TG4_P4150006.jpg
< F8 1/60秒 ISO160 f=4.5mm 手持撮影 >


posted by gajin at 23:56| Comment(0) | きのこ

2016年04月02日

町屋海岸の堤防改修工事

午前中、大好きなヤマザクラの花を撮影するため、ため池のある山沿いを歩いてきた。

ため池に張り出したヤマザクラの木はちょうど花の見頃を迎えていた。
淡いピンク色の花と赤い新芽、それと黒い枝が絶妙のコントラストを見せている。
160402_101904_M3_IMG_0305.jpg
3月に新しく導入したCanon EOS M3 + 11-22mmズームレンズ は恐ろしくシャープな画像を記録してくれる。

何かきのこが出ていまいかと、やや薄暗い林道の入り口を少し歩いて見ると、道端の腐朽木からウラベニガサらしききのこが発生していた。
160402_103055_M3_IMG_0317.jpg

午後からは三重大学裏の町屋海岸を見に行ってきた。
2013年9月から行われていた堤防改修工事が終わっているはずなので、状況を確認したかったからだ。

現地に行ってみると、堤防は新しく作り替えられ、狭かった堤防道路は2車線の舗装道路となり、さらに幅広の歩道らしきものも立派に整備されていた。
ところが、期待していた駐車スペースはどこにもなく、以前よりも海岸へのアクセスは悪くなってしまっていた。
160402_124411_M3_IMG_0322.jpg
この海岸の管理者は、なんとかして人を海岸に近づけないようにしたいと考えているようだ。

海岸側は想像以上にひどいことになっていた。
かつてドングりタケの仲間も見られた画面右側にあった松林が完全に消失していた。
160402_124349_M3_IMG_0321.jpg

そしてなぜか海岸側には矢板を打った堤防が撤去されずに残されている。
160402_124905_M3_IMG_0324.jpg

かつてショウロがたくさん発生していた場所もこんなに掘り起こされてしまっている。
160402_125347_M3_IMG_0326.jpg

しかし、ショウロ自体は今年かなりの量が発生したようで、このように若い松の周りに古くなったものがたくさん転がっているのが目に付いた。
160402_130938_M3_IMG_0336.jpg

発生のピークは1-2週間前だったようだが、こんな感じで地上にかなり大量に転がっていた。
160402_130355_M3_IMG_0329.jpg

もう少し若いものはこんな感じで発生していた。
160402_130622_M3_IMG_0333.jpg

これなどはまだ食用にできるくらいだ。
160402_131814_M3_IMG_0340.jpg

今回の堤防改修工事が海浜のきのこに対して致命的なダメージを与えたとは思えないが、車でのアクセスが以前より悪くなってしまったのは何とかしてほしいものだ。
それと、海岸側の矢板は早急に撤去されることを望む。




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2016年03月15日

オオシトネタケ

あっという間に3月も半ばとなってしまった。

我が家のブラシノキのキツネタケモドキは、もうすでに老熟した姿を見せているものが多くなってきた。
やはり昨年に比べると1か月以上も早いようだ。
2016-03-15-18.13.22 ZS DMap.jpg
この画像は、TG-4のフォーカスブラケット機能で自動的にピント位置をずらして撮影した7枚の画像をZerene Stacherで深度合成したものだ。きのこの部分は比較的良いのだが、背景のぼけた部分が何やらおかしくなっている。

これも同じように6枚の画像を深度合成したものだが、背景の不自然さはそれほど目立っていない。
2016-03-15-18.19.03 ZS DMap.jpg

こちらは、大阪の埋め立て地のユーカリ樹下に発生したキツネタケモドキで、2月20日に採集されたものをもらってきたもの。
我が家のブラシノキのキツネタケモドキより1か月ほども早く老熟した姿となっている。
2016-03-14-17.12.33 ZS DMap.jpg
この画像は、手動でピントをずらしながら撮影した9枚の画像を、やはりZerene Stacherで深度合成したもの。こういう画像は比較的うまく合成できるようだ。

雨がけっこう降っているので、もうそろそろウラベニガサが出てきているのではないかとシイタケのほだ場を覗いてみた。
しかし、ウラベニガサの姿は全く見られず、代わりにこのオオシトネタケが出てきているのが目に付いた。
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オオシトネタケはもうすでに4cmほどに成長しているものも見られたが、成熟するにはさらに期間を要するだろう。
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2016年02月16日

キツネタケモドキ?

先日のヒドナンギウムが発生している大阪のユーカリ林では、キツネタケモドキも既に発生が始まっているということなので、我が家のブラシノキ樹下でももしやと思って目を皿のようにして探してみた・・。

すると、驚いたことにやっぱり出てきていた!
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この冬は全体に異常な暖かさだったが、それにしてもこんな時期にキツネタケの仲間が発生するというのはやっぱりなんだかおかしな気がする。
これら南半球由来のユーカリやブラシノキに発生しているキツネタケの仲間は、起源はやはり南半球由来で、北半球とは違う季節の流れが遺伝子に刻まれているのではないかという気がする・・。

午後は、気晴らしに香良洲町の海岸を歩いてみた。

いつもの斜めの松がいつものように変わりなく斜めに立っていた。
160216_152327_TG4_P2160013.jpg
先日の雨でショウロがたくさん顔を出してきているのではないかと期待していたのだが、意外に1個も見つけることができなかった。春のショウロの大発生はもう少し先のようだ。

ケシボウズの仲間は昨年秋くらいから数多く発生していたようで、こんな感じのアバタケシボウズタケが広範囲に見られた。
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ナガエノホコリタケも1か所で見ることができた。
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波打ち際では、人懐っこいユリカモメが何かを突っついて食べているようだった。
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2016年02月14日

ヒドナンギウムの季節

昨日、京都市で開催された関西菌類談話会の総会・講演会でお会いした大阪のKさんから、とても新鮮なヒドナンギウム属菌を頂いてきた。

昨年も頂いたのは3月だったので、やっぱりこのヒドナンギウムの発生時期はこんな早春の頃のようだ。
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※この写真は、ピントをずらして撮影した6枚の写真を Photoshop cc で合成したもの。比較的うまくできたな・・。

断面はクルミタケなんかともちょっと似た感じだが、キツネタケの仲間の色合いや質感を強く残している。
地下生化してからまだ日が浅いのではないだろうか(と言っても何万年という単位の話なのだろうが・・)?
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※訳あって中心を外して断面を切っているので柄の名残が見えないのが残念だ。

昨年確認できなかった担子器や菌糸のクランプなどを確認するため切片を切り出してみた。
しかし、びっしりと胞子が付着していて子実層の様子は良く分からない。実質の菌糸もはっきりしない。
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胞子の少ない場所を探してみても担子器の姿ははっきりしない。
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コンゴーレッドで染色して押しつぶしてみると、やっと担子器の姿がとらえられた。二胞子性に間違いない。
しかし、胞子を成熟させた担子器は内容物が抜け出して皮(膜)だけぺしゃんこになっているように見える。
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これは、地下生化し胞子を発射する必要がなくなったため担子器内の養分を他に回しているためだと考えられるが、完全に溶けないで皮だけ残っている担子器の様子は、やっぱり地下生化してまだ日が浅いことを感じさせる。

ぺしゃんこの担子器はこちらの画像の方が分かりやすい。
まるでゲゲゲの鬼太郎に出てくる「一反木綿」のよう・・
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いくつか切片を作ってみたが、意外に菌糸の確認が出来なかった。
ところどころにこのような細長い菌糸が見られるのだが、隔壁は少なくクランプも確認できなかった。
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菌糸のクランプについてはもう少し観察をしないといけないようだ。

これは、コンゴーレッドで染色した胞子だが、相変わらず美しい姿をしていた。
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2016年01月02日

ホンシメジ・その2

ホンシメジの栽培品は近くの農業公園内にある産直市場でいつでも売られているのだが、1袋が500円もするのでお盆とお正月くらいしか庶民には手が出せない・・。

タカラバイオ(株)が大量生産技術を確立したこの「大黒本しめじ」は、当初、四日市市楠町で生産されていたのだが、現在は京丹波町にある瑞穂農林株式会社(タカラバイオ・京丹波町・京丹波森林組合が共同出資)のみで生産されているようだ。
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シイタケやブナシメジなら200円くらいで売られている量だが、どうしても栽培にコストがかかってしまうのだろう。この値段では地方のスーパーでは到底他のきのこに太刀打ちできないため、このような産直市で高級なイメージで売られているのだろう。しかし、いかにも丹波の山で育てましたというようなこのパッケージはちょっと残念な気がする・・。

パッと見は天然のホンシメジとかなり違うなという印象を持っていたのだが、こうやって各部をじっくり眺めてみると、やっぱりこれはホンシメジに違いないということが理解できる。
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昔、滋賀県の林業試験場で試験栽培されているホンシメジを見せてもらったことがあるが、それはかなり天然のものに近かったと記憶している。菌株の違いなのだろうか?

天然のホンシメジといちばん違うと思うのは柄の緻密さが少ないことだろう。手に持った感じもふわふわとしているし、食感も天然のものとはかなり違うように思える。これはエサの違いからそうなってしまうのだろうか?
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最初は見た目の違いから、これらの菌株は外国産のホンシメジの仲間から採集したものかと思っていたが、タカラバイオが特許を持っている「ホンシメジの人工栽培方法」の説明を見てみると、主な菌株は秋田県や福島県など国内で採集されたもののようだ。

一番確認してみたかったのは、この胞子がどんな形をしているかである。
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これなら「球形」といえるだろう。
サイズは、径5.5〜7.5μmとかなりばらつきが大きく平均で6.4μm。図鑑の記述「4〜6μm」に比べると3割弱大きいようだ。

この栽培品がどこで採集された菌株なのかは分からないが、胞子が球形でなかった近所の松山のホンシメジよりも図鑑に記載されたものに近いもののようだ。これはかなり意外だった・・。



posted by gajin at 21:45| Comment(0) | きのこ

2015年12月24日

とても暖かいクリスマスイブの日

12月とは思えない暖かい陽気に誘われて、やや久しぶりの香良洲海岸に行ってみた。

海浜の一角ではヒメカンムリツチグリ(Geastrum quadrifidum)の新しい子実体が幾つか見つかった。
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発生場所は、もう10年くらい前からヒメカンムリツチグリが発生を続けている場所だ。
2-3年で発生しなくなるケシボウズタケの仲間と違って長期間発生を続けられるのは、地表近くの有機物をエサにしているからなのだろうか?
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ナガエノホコリタケも2-3か所で発生していた。
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どれも1-2か月前に発生したものだと思うが、今年は比較的多くの場所でケシボウズが発生しているようだ。
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ツノマタタケは、意外にも海岸でよく目にするきのこだ。
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香良洲公園の一角ではショウロがたくさん発生してきていた。
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ごく最近発生してきたようで、まだ食べられそうな程に若いものが多かった。
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この場所は土が比較的硬いので地表に露出して発生しているが、もっと柔らかい砂地の場所では目に見えない地下でこのような発生が始まっているのかも知れない・・。

庭のエノキタケも昨夜の雨で元気を取り戻していた。
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枯れたムクゲの根元には若い幼菌も顔を覗かせている。
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この冬は本当に暖かくて、いつもなら2-3月頃に咲き出すはずのツバキがもうかなり咲いてきている。
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バラのような大輪のツバキを庭の片隅で発見!
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あまりに大輪のせいで下を向いてしまっていたので、手で支えて写真を撮っている。

この暖かさでハチやアブも活発に活動していたので「虫の目レンズ」で遊んでみた。
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影を作らないように虫に近づくのはなかなか難しい・・。


posted by gajin at 18:08| Comment(0) | きのこ

2015年12月06日

ホンシメジの季節

近くの松山を今年最後の確認のつもりで歩いてみたら、ホンシメジの発生を10年ぶりくらいに確認することができた。
ホンシメジは県内でも発生がほとんど確認できなくなってきており、2014年に改定した三重県レッドリストでは最高ランクのCR(絶滅危惧TA類)にランクをアップしたところである。

今年は10月の乾燥と11月の高温多雨のせいで発生時期がやや遅れていたのだろう。この時期になってもまだ傘は完全に開いていない。
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しかし、ホンシメジ自体はかなり晩生のきのこで、12月に発生することはそれほど珍しいことではない。

反対側から見た発生状況
尾根筋の道の脇に3株ほど発生していた。
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ホンシメジがたくさん発生した頃には、足の踏み場がないほど幼菌が辺り一面に発生したものだ。ホンシメジに関しては「シメジ」の語源は「占地」で間違いないだろう。

発生場所の植生は、貧弱なアカマツとコナラが道の左右にとりあえず1本ずつ生えているという程度で、あとはヒサカキ、ネジキ、ソヨゴ、ツツジやササの仲間といったところ。
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ホンシメジはマツタケと違ってアカマツの純林には発生しない。アカマツ+ヒサカキ・ネジキ・コナラなどが混生した林でないと生育できないようなのだ。
ヒサカキ(モッコク科)やネジキ(ツツジ科)は外生菌根を作る植物ではないが、何かしらホンシメジの菌根と関係しているように思われる。

傘表面はウラベニホテイシメジやクサウラベニタケなどとよく似た感じで、ハタケシメジとはかなり違っている。
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この写真は50mmマクロレンズでピントをずらして撮影した2枚の画像を深度合成している。(次の写真も同じ)

若い方の株では柄の根元が膨らんでいるのが分かる。
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採集してきたきのこの標本写真
傘の径は6-8cmほどで比較的大型である。貧弱なシロの割りには1株当たりの発生本数が少ないためであろう。
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柄は類白色。成長に伴い根元の膨らみは目立たなくなるようだ。
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肉質は緻密で、柄は繊維状に縦に裂けやすくなっている。
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こちらは若い方の株
柄の根元は大きく膨らんでいる。
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これらの標本写真もピントをずらして撮影した3-5枚くらいの画像を深度合成している。
1枚の写真で全体にピントを合わせることは、レンズの絞りを最大に絞り込んでもなかなか難しいからだ。

これらの貴重な採集品は、DNAサンプルの採取や顕微鏡観察を行ったのち、乾燥標本として保存した。
ごく一部を食味検査に回したが・・。(^^;

胞子は類球形で、6.5×5.5μm程度。
新菌類図鑑の記載では「球形」となっているが、どう見てもこれは球形とは言いがたい・・。
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ホンシメジは2種以上を含む複合種であることが確認されているので、本種は図鑑に記載された種とは別種なのかもわからない。

そして胞子は非アミロイド
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ひだ断面は予想どおりのつまらない姿
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そして、例によってフロキシンで染色してKOHでふやかして押しつぶした子実層の様子
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ひだ実質の菌糸には特大のクランプが見られる。
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傘表皮も、見た目の割りにつまらない様子だ。
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コンゴーレッドで染色して、KOHでふやかし、さらに偏斜照明まで当ててみた。
傘表面は細い菌糸が平行に走っている。
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小さなつぶつぶは付着した胞子。黒っぽいものは何かの微生物(菌類?)が付着(寄生?)したもののようだ。

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2015年11月30日

検鏡の結果

遠州灘の海岸で採集してきたケシボウズとヒメツチグリ属の標本を検鏡してみたので、その結果を掲載しておく。

検鏡といっても胞子のみの観察である。
ケシボウズの胞子はけっこう小さいので、対物レンズはすべて100倍の油浸レンズを使用した。
また、標本写真は、ピントをずらして撮影した2-4枚程度の画像をPhotoshopで深度合成している。

先ずは、浜岡砂丘で採集した小型のケシボウズ
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胞子は小さいイボに覆われていると予想していたが、意外にもアバタケシボウズタケのように大型のトゲに覆われているものが多かった。
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次は、浜岡砂丘で採集したナガエノホコリタケらしきケシボウズ
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胞子表面はトゲ状〜マスクメロンのような網目状になっており、ナガエノホコリタケとして間違いないようだ。
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浜岡砂丘で採集したヒメツチグリ属でヒメカンムリツチグリのようだと思っていたものも、孔縁盤の形状などを確認すると、これもヒヨリヒメツチグリのようだ。
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胞子は褐色で、不定形なイボ状突起に覆われている。
サイズは径4.2μm程度の球形で、ヒヨリヒメツチグリの新産種報告(坂本・糟谷 2008年 日菌報)の記載(5.5-7μm)よりもかなり小さいようだ。
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次は典型的なアバタケシボウズタケと思われた中田島砂丘のケシボウズ
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胞子は角錐状のやや長いトゲに覆われているが、比較的小さいトゲに覆われている胞子も混じっているように見える。
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これは中田島砂丘で採集した小型のケシボウズを2つ並べている。
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上側のものの胞子は、浜岡砂丘のものと同じようにアバタケシボウズタケの胞子とよく似た姿をしている。
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下側のものはアバタケシボウズタケを小型にしたような姿をしているが、胞子は意外にも小型のトゲに覆われていた。
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中田島砂丘で最後に採集した大型のアバタケシボウズタケらしきもの
頭部がかなり扁平なのが気になった種だ。
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胞子を確認すると典型的なアバタケシボウズタケの姿をしていた。
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中田島砂丘で採集してきたヒヨリヒメツチグリらしきものも念のため確認してみた。
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こちらの方は胞子サイズが径5.0μm程度あり、浜岡砂丘のものよりやや大きいが、やはり前述の記載よりは少し小さいようだ。
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