2015年11月10日

今ごろオオイチョウタケ!?

家の近くの林道を気晴らしにバイクで走ってみたら、道端に大型の白いきのこが出ているのが目に入った。
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最初、ベニタケの仲間のように思えたが、このような杉林だし・・
抜いてみると意外に新鮮で、オオイチョウタケに間違いないように見えた。
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しかし、オオイチョウタケといえば彼岸を過ぎたくらいの比較的暖かい時期に発生するきのこではなかったのか・・? 頭の中が??となる・・。

傘のかけらをポケットに入れて持ち帰り検鏡してみた。

ひだをカバーグラスの上に乗せると、短時間で多数の胞子が落下した。
これはドライで観察した画像
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こちらは水封して偏斜照明を当ててみたもの。
サイズは平均で 6.3×4.1μm 程度
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メルツアー試薬を加えるとアミロイド反応を示した。
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ひだ断面には特に目立ったシスチジアなどの組織は無いようだ。
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KOHでばらした子実層(フロキシンで染色)
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ひだ実質の菌糸にはクランプがあり、担子器基部にもクランプがあるようだ。

傘表皮は細い菌糸が絡みながら平行に走っているようだが、最も外側の菌糸の状態はぼやけていて良く分からない。
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コンゴーレッドで染色してKOHで潰してみると菌糸の状態は良く見えるようになった。
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傘表皮の菌糸にも大型のクランプが確認できる。
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以上の検鏡結果は全てこれがオオイチョウタケであることを指示している。

しかし、こんな時期にオオイチョウタケが発生するとは・・
今年はもう終わりと思っていたマツタケ山にももう一度行ってみなければなるまい。(←ウソ)


posted by gajin at 23:53| Comment(4) | きのこ
この記事へのコメント
そちらのオオイチョウタケには愛知県産同様シスチジアがないようですね。「北陸のきのこ図鑑」の北陸のオオイチョウタケには縁シスチジアがあります。このきのこもよく調べれば多系統かもしれません。
Posted by gorosuke at 2015年11月15日 22:06
gorosukeさん、すみません。
最近、コメントなんて滅多にないので見過ごしておりました。(^^;

確かに北陸のきのこ図鑑を見ると縁シスチジアがあるようですね。ご教示ありがとうございます。
この図を見ると、けっこう他の組織と似ているような感じですので、なかなか判別が難しそうですね。今度見つけたら意識してもう少し詳しく調べてみようと思います。

でも、オオイチョウタケに関しては確かに何系統かあるという話は耳にしますね。種が分かれるのかどうかは分かりませんが、系統によって中るやつと中らないやつがあるそうです。
Posted by gajin at 2015年11月18日 23:29
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