この場所で最初に見つかったのは2008年7月5日で、こちらに観察記録を書いている。
恐らく未記載種であると思われるが、本郷次雄博士が1987年8月4日と1993年8月6日に大津市で採集された子実体の記録を残されている。また、2006年7月に開催された仙台合宿でも私自身が29日に太白山で採集しており、関西のみならず広範囲に分布しているのではないかと思われる。
10:46 見つかった直後はこのような状態だった。近隣の菌根性樹種はアラカシとモミ。
この時点で中央のきのこに潜んでいるナメクジを退治しておくべきだった・・。

15:07 観察会終了後に行ってみると約4時間の間に傘が1個まるごと食べられてしまっていた。

柄が全体に特徴的なピンク色を帯び、傘表面はややビロード状で赤紫色の地に周辺部が黄緑色を帯びる。

全ての部位がシロクロハツのような黒変性を持っている。
胞子紋は白色。ひだは柄に近い部分から分岐しているものが多い。

ひだ断面を見ると、細長い縁及び側シスチジアが数多く見られる。

ひだ断面を偏光照明で観察すると、なぜかシスチジアのみが光り輝いて見える。
これがこの種のみの特徴なのか、他の種にも広く見られる現象なのかは良く分からない。いちど色々な種で確認してみないといけないと思っている。

側シスチジアは指状突起を持った細長い円筒状〜棍棒状。縁シスチジアもよく似た形状である。

傘表皮は隔壁を持った毛のような菌糸が多数立ち上がっているようだ。

乾燥系60倍対物レンズで観察した担子胞子(メルツアー試薬で染色)
細かいイボ状突起に覆われている。

こちらの画像は油浸100倍対物レンズを使用し深度合成を行ったもの
胞子のサイズは8×6μm程度

こちらは深度合成をしていない画像だが、くっきりした胞子盤の模様や比較的長い嘴状突起の様子が確認できる。
