2015年11月30日

検鏡の結果

遠州灘の海岸で採集してきたケシボウズとヒメツチグリ属の標本を検鏡してみたので、その結果を掲載しておく。

検鏡といっても胞子のみの観察である。
ケシボウズの胞子はけっこう小さいので、対物レンズはすべて100倍の油浸レンズを使用した。
また、標本写真は、ピントをずらして撮影した2-4枚程度の画像をPhotoshopで深度合成している。

先ずは、浜岡砂丘で採集した小型のケシボウズ
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胞子は小さいイボに覆われていると予想していたが、意外にもアバタケシボウズタケのように大型のトゲに覆われているものが多かった。
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次は、浜岡砂丘で採集したナガエノホコリタケらしきケシボウズ
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胞子表面はトゲ状〜マスクメロンのような網目状になっており、ナガエノホコリタケとして間違いないようだ。
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浜岡砂丘で採集したヒメツチグリ属でヒメカンムリツチグリのようだと思っていたものも、孔縁盤の形状などを確認すると、これもヒヨリヒメツチグリのようだ。
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胞子は褐色で、不定形なイボ状突起に覆われている。
サイズは径4.2μm程度の球形で、ヒヨリヒメツチグリの新産種報告(坂本・糟谷 2008年 日菌報)の記載(5.5-7μm)よりもかなり小さいようだ。
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次は典型的なアバタケシボウズタケと思われた中田島砂丘のケシボウズ
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胞子は角錐状のやや長いトゲに覆われているが、比較的小さいトゲに覆われている胞子も混じっているように見える。
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これは中田島砂丘で採集した小型のケシボウズを2つ並べている。
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上側のものの胞子は、浜岡砂丘のものと同じようにアバタケシボウズタケの胞子とよく似た姿をしている。
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下側のものはアバタケシボウズタケを小型にしたような姿をしているが、胞子は意外にも小型のトゲに覆われていた。
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中田島砂丘で最後に採集した大型のアバタケシボウズタケらしきもの
頭部がかなり扁平なのが気になった種だ。
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胞子を確認すると典型的なアバタケシボウズタケの姿をしていた。
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中田島砂丘で採集してきたヒヨリヒメツチグリらしきものも念のため確認してみた。
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こちらの方は胞子サイズが径5.0μm程度あり、浜岡砂丘のものよりやや大きいが、やはり前述の記載よりは少し小さいようだ。
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2015年11月26日

1年ぶりの遠州灘

このところ雨がけっこう降っていたので遠州灘の海岸に行かねばと思っていたのだが、もうこんな時期になってしまった・・。

AM3:30にぱっちり目を覚まして出発し、浜岡砂丘に到着したのは6:30頃。
予想どおり雨はほとんど上がってしまっていて、時々降ってくる小雨にも傘をさすことはなかった。
夜明け頃までは風がけっこう強かったが、しばらくすると風力発電の風車が止まってしまうほど穏やかになり、気温も比較的高かった。
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しかし、風力発電の風車はまた増えているような気がする・・。

最初に出迎えてくれたのはこの可愛らしいスナヤマチャワンタケだった。
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その近くでは小型のケシボウズが発生していた。
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別の場所ではアバタケシボウズタケ(Tulostoma adhaerens)と思われるものも見つかった。
最近雨が多いせいなのか外皮には藻類が発生してきている。
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同じような場所にヒメツチグリの仲間が転がっていた。
なぜか頭部には砂が多く付着していて特徴が分かりづらいが、雨水を吸って外皮が開いている様子はヒヨリヒメツチグリ(Geastrum kotlabae)のように見える。
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また違う場所ではナガエノホコリタケ(T. fimbriatum var. campestre)のような大型のケシボウズも見つかった。
まだかなり新しい孔口の様子はウネミケシボウズタケ(T. striatum)を彷彿とさせる。
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ヒメカンムリツチグリ(G. quadrifidum)のようなきのこも見つかった。
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浜岡砂丘の西側の一角はなぜかブルドーザーで平らに均されていた。
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クロマツ林内は予想外にきのこが少なく、やや古くなったショウロがあちこちで目立っていたくらいである。
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次の目的地である中田島砂丘に向かう途中に立ち寄った大須賀辺りの海岸は、環境も非常に良かったが、ケシボウズなどは見つからなかった。
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そのあと、福田の海岸にも立ち寄ってみたが、やはりまだケシボウズなどは発生してきていない様子だった。

中田島砂丘では、数年くらい前に作られた垣根が好い具合に古くなり、環境はなかなかが良くなってきていた。
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ここでもアバタケシボウズタケ(T. adhaerens)らしきケシボウズが発生してきていた。
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これはまだ発生から1か月も経っていないようだ。
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トベラなどの低木がまばらに生える一角には、ここでもヒメツチグリの仲間が風に飛ばされたように転がっていた。
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小型のケシボウズも何か所かに発生していた。
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水分を十分に吸ってきれいに開いたヒメツチグリの仲間
やはりこれはヒヨリヒメツチグリ(G. kotlabae)のように思える。
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最後に歩いた松林の際に大型のケシボウズが発生しているのが目に付いた。
これもアバタケシボウズタケ(T. adhaerens)のようだが、かなり大型で頭部の形状がかなり平べったいのが気にかかる。
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今日は帰宅してから標本撮影のみで手いっぱいだったので、検鏡は明日以降やることにしよう・・。


posted by gajin at 23:28| Comment(0) | きのこ

2015年11月16日

ササタケ?

今年、なかなか行くことが出来なかった志摩市の登茂山園地を歩いてきた。

穏やかな英虞湾の海では養殖のアオサがもうかなり育っているように見えた。
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このところしっかりと雨が降ってくれたので、何某かのきのこが出ているのではないかと期待して歩いていくと、すぐにこのササタケらしききのこが出迎えてくれた。
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同じきのこの裏側
傘、ひだ、柄とも同じような黄色い色をしている。近くには老菌もいくつか見られたが、それはもっと褐色を帯びた色をしていた。
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近くにはショウロの仲間もいくつか発生していた。
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桜の枯れ木から出ていたのはたぶんミイロアミタケだろう。なかなかシックで美しい色をしている。
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同じような桜の切り株から出ていたこのきのこはもっと美しかった!
何というきのこか良く分からないが(調べる気力なし・・)、硬質菌も侮りがたいなと思う。
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シロシメジかな?と思ってよく見るとワカフサタケの仲間のようだった。
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そして、ついに見つけたマツタケのようなもの!
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抜いてみると非常に強靭な肉質で、わずかにマツタケの香りもする・・
しかし、冷静になってよく見ると、このひだのギザギザ具合はマツオウジに違いないだろう。
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コツチグリらしききのこの残骸はたくさん転がっていたのだが、なぜか新鮮なものはさっぱり見当たらなかった。
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若いアカマツの生えた切り通し斜面にアミタケがたくさん発生していた。
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そして、アミタケの近くには新鮮なオウギタケの姿も。
10月の乾燥で出られなかったきのこが今頃になって発生してきたようだ。
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こちらはヌメリイグチのよう・・
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最初に見たササタケらしききのこを持ち帰って検鏡してみた。

胞子は表面がざらざらしており、サイズは平均で7.4×4.2μm程度。
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ひだ断面に目立ったシスチジア等の組織は見当たらない。
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例によってフロキシンで染色しKOHを加えて押しつぶした子実層の様子
担子器の基部にはクランプがある。
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傘表皮の様子
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検鏡の結果は、ササタケを否定するものは何もないが、かといってこれだけでササタケだと断定できるものでもないようだ・・。

posted by gajin at 23:19| Comment(0) | きのこ

2015年11月15日

白塚町の海岸

津市白塚町の海岸を1時間ほど散策してきた。

ここはかなり広大な面積の海浜植生が広がっているので、くまなく散策するのはなかなか大変だ。
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カワラナデシコの後方に見える幾つかの建物は建設中の下水処理施設だ。
当初、県はこの施設を海浜側に作りたかったようだが、それはなんとか阻止されて堤防の内側に建設されることとなった。
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この工事の影響を調査するためなのか、海浜植物(ビロードテンツキ?)の育成調査とやらを実施しているようだ。
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これがその観測装置らしきもの。風向・風速や地温なんかを観測しているようだ。
この場所のビロードテンツキは、芝生を貼るときのような四角いパッチワークのように植えられているように見える。
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1か所でアバタケシボウズタケらしきケシボウズが3個ほど出ていた。
この砂の付着具合からすると、発生してからまだ1か月も経っていないと思われる。
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波打ち際には大型のカモメの仲間とカワウらしき鳥がたくさん集まっていた。
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帰りに三重大学裏の堤防工事の進捗状況を確認しようと行ってみたが、車ではこの辺りまでしか近づけない。
工事が完了すれば堤防道路が今までより広くなるので、堤防に車を停めての海岸散策がしやすくなるだろうか?
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※この写真の場所は、運動公園のような施設が海岸側に張り出している部分だ。


posted by gajin at 18:38| Comment(2) | きのこ

2015年11月10日

今ごろオオイチョウタケ!?

家の近くの林道を気晴らしにバイクで走ってみたら、道端に大型の白いきのこが出ているのが目に入った。
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最初、ベニタケの仲間のように思えたが、このような杉林だし・・
抜いてみると意外に新鮮で、オオイチョウタケに間違いないように見えた。
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しかし、オオイチョウタケといえば彼岸を過ぎたくらいの比較的暖かい時期に発生するきのこではなかったのか・・? 頭の中が??となる・・。

傘のかけらをポケットに入れて持ち帰り検鏡してみた。

ひだをカバーグラスの上に乗せると、短時間で多数の胞子が落下した。
これはドライで観察した画像
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こちらは水封して偏斜照明を当ててみたもの。
サイズは平均で 6.3×4.1μm 程度
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メルツアー試薬を加えるとアミロイド反応を示した。
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ひだ断面には特に目立ったシスチジアなどの組織は無いようだ。
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KOHでばらした子実層(フロキシンで染色)
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ひだ実質の菌糸にはクランプがあり、担子器基部にもクランプがあるようだ。

傘表皮は細い菌糸が絡みながら平行に走っているようだが、最も外側の菌糸の状態はぼやけていて良く分からない。
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コンゴーレッドで染色してKOHで潰してみると菌糸の状態は良く見えるようになった。
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傘表皮の菌糸にも大型のクランプが確認できる。
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以上の検鏡結果は全てこれがオオイチョウタケであることを指示している。

しかし、こんな時期にオオイチョウタケが発生するとは・・
今年はもう終わりと思っていたマツタケ山にももう一度行ってみなければなるまい。(←ウソ)


posted by gajin at 23:53| Comment(2) | きのこ